ゴスペラーズ20周年全国ツアーに参加して。コンサートドキュメンタリー
たまにはコンサートへ行ってライブで聴くっていいものです。
最近、妻に連れられて「ゴスペラーズ」のコンサートへ行ってきました。
全国ツアーに参加なんて書き方しているから、スタッフとして参加したのかと思われるかもしれません。確かに、会場警備のアルバイトでもしてれば違うのですが。
しかし、コンサートへ行ったということは一緒に参加したということでいいじゃないですか。
そもそもわたしは「ゴスペラーズ」というグループは知っていましたが、具体的にどんな歌を歌ってるとかそういうことは全くもって知らなかったのです。
あれは約1か月前、妻から「このCD暗記しなさい」と手渡された2枚のCD。
それはゴスペラーズのベストアルバムとやらでした。
CDを聴く限りでは特別これといった印象深い曲はありませんでしたが、このグループの特徴と言えばやはりアカペラで歌える、と言ったところではないでしょうか。
とりあえず、出勤時、帰宅時の往復は車の中でできるだけ聴くようにしました。
そして、その結果、「ABCDEFG・・・・」という歌詞の歌だけは当日唯一わかりました。
しかし、知らない曲を延々3時間聴くということはなかなか体力が要ります。
最初の30分ですでにギブアップしていた私。
その日、いとこはあの「ポールマッカートニー」のコンサートへ行くという話を思い出しました。まがりなりに、高校時代はポールのコピーバンドをやっていた私にとってそれはうらやましい限りだったのです。後で聞いた話によると、ビートルズ時代の曲が比較的多かったようです。でも「Let it Be」ならジョンレノンでしょう。
そんなことを考えつつ、我に返ったときそれはまだゴスペラーズのコンサートの真っ最中でした。
そしてそのまま時間は過ぎ、放心状態に陥ったわたしは、アカペラで5人組が歌いだしたその曲調から「修証義」を連想してしまったのです!
「修証義」とは曹洞宗の開祖・道元の著作である『正法眼蔵』から、特に在家信徒への布教を念頭におき、重要な点を抜粋し、全5章31節にまとめたありがたいお経なのです。
法事へ行くたびにお寺で毎回このお経を読んでいるうちになんとなく曲調を覚えてしまいました。それがなんとゴスペラーズのアカペラと被ったのです!
そもそもお経は木魚一つで歌うように読んでいきますから、これもまたアカペラなようなものです。上手にお経を読めるお坊さんのお経は聴いてても眠くなりません。
もしやアカペラのルーツは仏教の教えによるものなのではないかと一人感心してしまいました。
そんなこんなで、コンサートは遂に終わりを迎えました。
「よし、帰ろう」そう思った時です。
「アンコール、アンコール・・・」
やっぱりそうだよな。
なんともう3曲私の知らない曲を熱唱。
会場は総立ち、ボーと立っているだけはかえって目立つので、周囲のお客さんに混じって手を振ってみたり、ポーズをとってみたり、最前列のお客さんは熱狂的なファンばかりでテンションあがりっぱなしでした。
そして、本当に終演したとき、わたしの体力は尽きてしまいました。
場違いなところへ来てしまった感覚です。
場違いで思い出しては十数年前、母がいい歳で大学へ入学するというから、当時東京にいた私はその入学式を観に行ったのです。保護者席を探しているうちに、係員のような人に「ちょっとあなた、ちゃんと並んで歩きなさい」
そして私が入っていったところは入学生に混じってそのまま入学生席へ連れて行かれていたのです。
そして場違いなところで入学生として斜め前に座る母の入学式に参加してしまいました。
とりあえず、妻のご機嫌がとれたところで、このコンサートは有意義なものだったのだと自分に言い聞かせて明日からの生活を平和に送るつなぎの役目を果たしたのでした。