アナログ24時

気になったことを記事にしています。アナログスピードな人間ですが・・・

吉田松陰の遺書って知ってますか?~NHKの大河「花燃ゆ」視聴率ワーストでも実は今が面白い~

先日の放送で5回目を迎えた大河ドラマ「花燃ゆ」。

明治維新の立役者の一人、「吉田松陰」の妹の物語。

主演は「井上真央」が演じていますが、視聴率は低迷中のようです。

第5回では兄「吉田松陰」が密航に失敗して野山獄にとらわれてしまいます。

ちょっと歴史好きならここからが非常に面白くなってくるところですが、世間はそうでもないのでしょうか?

 

f:id:moromi2015:20150202214521j:plain

吉田松陰獄中でしたためた遺書

野山獄で捕われた松陰はこの後獄中生活を転々としますが、最後には処刑されてしまいます。時は1858年死期を察した松陰は10月25日~26日にかけて、自身の門下生に向けて遺書をしたためました。これが有名な「留魂録」(りゅうこんろく)です。

私も幾度となく読み返しましたが、たった二日間でこの内容を書き上げた松陰の知能の高さ、また、日本の近未来を見通しているような内容にはあっと驚きました。

その後の倒幕、新政府、明治と激動の時代を迎えるにあたり、維新の立役者となっていったのが、松陰の門下生たちなのです。その門下生たちは「留魂録」を回し読みし、松陰がいなくなったのちもその思想を引き継ぎ、明治という時代を作り上げていったのです。

この「留魂録」は今の世を作った原点ともいうべき内容が詰まっています。

 

f:id:moromi2015:20150202214547j:plain

留魂録」の冒頭

特に印象に残ったのは、松陰の死生観だ。

明日にでも処刑されるという状況の中、自身の生死は別としてまた、それを四季の例えとして冷静に受け止め、これからの日本のこと、なすべきことを門下生に対して書き記している。

これはまさに明治新政府の基盤ともなる思想であり、鎖国状態の日本人の概念をいち早く払拭できる書でもあります。

 

第一章から始まり十六章に至るまで、松陰が経験して得てきた知識の要点を結集させたような文言が続いている。

出会った人、同じ志を持った人たち、そして彼らに門下生のことも紹介しているのです。第八章で死を前にした自身の気持ちが平穏であることに触れていますが、胸中は今後の日本を考えると、それだけで満足な気持ちになり、死も自然の流れだと感じさせてくれました。

 

f:id:moromi2015:20150202214708j:plain

松陰の門下生には「高杉晋作」も名を連ねる

この書の冒頭には辞世の句として知られる「身はたとい武蔵の野辺に朽ちぬとも 留め置かまし大和魂」と自身を見事に表現している。

松陰自身は死んでしまったとしてもその思いや思想は必ず残っている、ということを確信していたのです。

 

そんな松陰の生き様がこれからの「花燃ゆ」でしっかりとみられます。

現代の先駆けとなった原点となるお話をぜひご覧ください。

しかし、大河ドラマは率直に「吉田松陰」そのものにスポットを当ててもよかったのではないかと思います。

話のついでですが、松陰の門下生には初代内閣総理大臣の「伊藤博文」がいますが、ドラマになったことがないのは知っていますか?それは、中国や韓国の反日に遠慮していまだにドラマにできずにいるのです。もっとこの時代の重要人物にスポットを当てて歴史の転換期をしっかり放送してほしいものです。

 

吉田松陰 留魂録 (全訳注) (講談社学術文庫)

新品価格
¥886から
(2015/2/2 21:49時点)